【ジャンル】
食説「異世界ウヨリジサリのにっぽん食文禄!?」
(2020年12月12日分)
【管理人の一言】
亮磁「安くて沢山入ってて旨いんだよなぁ…特から!」


ランキング参加中。
ポチッと応援宜しくお願い致します。

『特から』
オリキャラ : レ―ミス・フィアレ
【第4話】
-ルフェナ城内 書庫-
お昼過ぎ。そこそこ賑やかな城内の中で、
一際静かな書庫に…1人の影が。
「最近お嬢様が書庫に頻繁に来ているって聞いたけど………
特に変わったものはありませんね………」
フィアレのお目付け役であるレーミスは、
最近フィアレが書庫で何かをしているという噂を耳にして調査に来ていた。
実際、近頃のフィアレはふらっと何処かに消えたかと思えば、
何やら満足そうな顔になって戻ってくるということが多かった。
「何か危険に晒されているわけでは無い…となりますと、
お嬢様のあの表情で分かりますが…絶対何か隠しているはず……」
本以外のものがあればすぐ見つかるはずだが、
幾ら探せども出てくるのは本ばかり。
書庫なのだから当然だ。
「お嬢様のことですから、
どこかにお菓子でも隠しているのではと思いましたが…見当たりませんね」
あらかた見て周って、
どうしたものかと悩んでいたところ、
ふと一冊の本が目に付くレーミス。
「あれ?………こんな本ありましたっけ?」
他のものより古びた…というよりは傷んだ皮の背表紙には何も書いていない。
本…というよりは日記の様なものを手に取るとパラパラと中を捲る。
「何も書いていない?いったい何の…きゃっ!」
すると突然本が輝き、レーミスは光に包まれた。
-本の中の世界-
「いっ…いったい何が…」
レーミスが目を覚ますと、白いふわふわとした世界に漂っていた。
目の前にはぽわぽわと光る光の玉が浮いている。
「ゆ、幽霊!?!?」
「違う違う!いや、まあ違くはないんだけど…」
「って、その声!もしかして…デル様ですか?」
生涯忘れられない、もう二度と聞くことは出来ない声が耳に届き、
流石のレ―ミスも動揺を隠せずにいたのだが…
気付けば、考えるより早く、光る玉に向かって言葉を投げかけていた。
「おっ、わかっちゃったか。久しぶりだね、レーミス」
「デル様っっ…ほ、本当に!
し、失礼致しました!幽霊などと言ってしまい…」
「仕方ないよー、だって僕この姿だし」
同じなのは声だけではない。この反応…間違い無く悪魔騎士王。
レ―ミスは、光る玉がデルの人格に相違無いと確信した。
「それにしても何故デル様がここに?」
「ここは僕の書いた本の中の世界だよ。
膨大な量の記録をする為にちょちょっと魔力を入れたら…
まあこんな感じで分身ができちゃったんだ」
「できちゃったんだって…
ということはあなたは本当のデル様ではない…と?」
「そうそう、飲み込みが早くて助かるよ」
「いやもう頭が混乱してます…」
久々の再開を祝う暇もなく、
突然の出来事にレーミスの頭はパンク寸前だった。
「それにしてもフィアレはまだ気付いてないのに…
すぐ気付くとは…レーミス、なかなかやるね」
「お嬢様?お嬢様もここに来ていたのですか?」
「うん、来てるよ」
「なるほど。
近頃お嬢様が行っていた場所というのは…こちらのことだったのですね…」
「にしてもレーミスまでここに来るとはねぇ…
結構上手いこと隠してたと思うんだけどなぁ、あの本」
「ところで、この本でお嬢様は何を?」
「うーん………食べてるね」
「食べる?」
「うん、この本は別世界『にっぽん』の食について記した本なんだ。
だからこの本の世界では『にっぽん』の食べ物を食べることができるんだよ。
まあ…僕が出さないといけないんだけど」
「なるほど、お嬢様がここに通う理由がよく分かりました…」
「あ、もちろん、父親としてちゃんとセーブさせてるからね!」
「とかいいつつ、強請られたら押し切られてるんじゃないですか?」
「ぐっ…レーミスさん、急に遠慮が無くなってません…?」
「それとこれとは話が別です。お嬢様のお世話も私の仕事ですので」
「立派になったもんだよ…じゃあそんな偉いレーミス君にはこれをあげよう」
「えっ、これは…」
ボフッという効果音と共にレーミスの目の前に現れたのは、
鶏肉を一口サイズに揚げたもの…唐揚げだった。
「鶏肉…の唐揚げですか」
「うん、でもただの唐揚げじゃないよ。
『にっぽん』という世界で作られた、『特から』という冷凍食品だ」
「冷凍?とても凍ってるようには見えませんが」
「そりゃ温めたからね。
一度調理したものを凍らせて、長期保存できるようにしたのが冷凍食品って代物さ。
ただ侮っちゃいけない…とにかく食べてみてよ」
「それじゃあ…まぁ一口だけ…」
ほくほくと湯気だった唐揚げを口に含むレーミス。
その瞬間、カッと目が見開かれる。
時間が経ったとは思えない柔らかな食感。滴る肉汁。
溢れんばかりの旨味を感じてしまったその体は、
もうこの唐揚げなしには生きられない体になってしまい、
『もっとください、はやくぅ…』とまるで発情した…
「…………」
待って待って!レ―ミスさん待って!
すみませんでした!出番あったら流石にこっちに関与できまいと!
出過ぎた真似を致しました!
許してください失礼しましたぁぁぁあああああ!!!
「…どうしたんだいレーミス?」
「いえ、ちょっと処さなければいけない方がいるような気がして…」
「なんで僕の方に斧を向けてくるんだい!?
僕は何も言ってないよ!?!?!?」
「はっ!失礼しました…。
それにしてもこの唐揚げ、美味しいですね。
醤油の香りに溢れ出る肉汁…長期保存用に作られた物とは思えない味です」
「おつまみに食べるもよし、ごはんに乗せて唐揚げ丼にするもよし…
揚げたてのカリッと感こそないものの、口に広がる旨味は只者じゃないよね」
「はい、これは是非お嬢様にも…」
「ははっ!なんだかんだ、フィアレに甘いのはお互い様みたいだ」
「あっ…ふふっ、そうかもしれません」
ぽわぽわと光る光の玉との談笑を楽しんでいると、
ほのかに辺りが白く光っていく。
「さて、そろそろお別れみたいだ。
お土産に一袋上げるから、フィアレと一緒に食べるといい」
「もう行ってしまわれるのですか?」
「この本に込められてる魔力はそんなに強くないからね。
そんなに長い時間維持できないんだ。
まぁ暫くしたら回復するから、そしたらまた本を開いてみてよ」
「そうですね…またお邪魔いたします。ありがとうございました」
「うん。これからもフィアレと仲良くしてやってね」
「もちろんです」
ふっとお互いに笑い合うと、温かい光が辺りを包んでいった。
レーミスが霞む光の中、一瞬だけ見えた光の玉の姿には…
かつて自分を救ってくれた恩人の姿が被さって見えていた。
-ルフェナ城内 廊下-
「あっ!レーミス!どこに行っていたんですの!」
窓から心地よい光が差し込む城内の廊下。
元気に走って来たのはこの国の姫であるフィアレだ。
「って、その手に持っているのは何ですの!?
唐揚げ?唐揚げなんですの!?
食べましょう!さあ、すぐにでも!!!」
レーミスの持っていた物に気付くと、
レーミスを食堂へとぐいぐい引っ張るフィアレ。
「お、お嬢様?さっきお昼を食べたばかりでは?」
「別腹ですわ!デザートですわ!」
「しっかり主食なんですが…」
「って、その唐揚げ、どこで手に入れたんですの?」
「あぁ、これは…」
と、言いかけて口を紡ぐレーミス。
「………知り合いの殿方に頂きました」
彼女にしては珍しく、
年相応の女の子が見せる悪戯っぽい笑みを浮かべながら言うレーミス。
「えぇー!どなたですの!教えてくださいな!」
「教えたら、お嬢様は集りに行きそうですので」
「そ、そ…そんな野蛮なこと、し…しませんわ!?」
和気藹々と話しながら歩く二人。
「(お嬢様自身が気付かなければいけないですからね)」
そう心の中で呟くと、レーミスはフィアレと共に食堂へと足を進めた。
【てるの後書き】
かなり期間が空いてしまいました…お久しぶりです、てるです。
今回の品物は「ニチレイ 特から」です。冷凍唐揚げといえばこれ!
と、気が付いたら学生時代から刷り込まれてましたね…。
量良し味良しと、いいとこ尽くし。
そのままでも美味しいし、マヨネーズやチリソースをかけてもまた良い。
おつまみとしても最高ですが、普段はご飯と一緒に食べてました。
作り立てのカリカリッとした唐揚げもいいんですけど、
冷凍の唐揚げってなんか定期的に食べたくなっちゃうんですよね。
食説「異世界ウヨリジサリのにっぽん食文禄!?」
(2020年12月12日分)
【管理人の一言】
亮磁「安くて沢山入ってて旨いんだよなぁ…特から!」




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ポチッと応援宜しくお願い致します。

『特から』
オリキャラ : レ―ミス・フィアレ
著者 : てる
監修 : 亮磁【第4話】
-ルフェナ城内 書庫-
お昼過ぎ。そこそこ賑やかな城内の中で、
一際静かな書庫に…1人の影が。
「最近お嬢様が書庫に頻繁に来ているって聞いたけど………
特に変わったものはありませんね………」
フィアレのお目付け役であるレーミスは、
最近フィアレが書庫で何かをしているという噂を耳にして調査に来ていた。
実際、近頃のフィアレはふらっと何処かに消えたかと思えば、
何やら満足そうな顔になって戻ってくるということが多かった。
「何か危険に晒されているわけでは無い…となりますと、
お嬢様のあの表情で分かりますが…絶対何か隠しているはず……」
本以外のものがあればすぐ見つかるはずだが、
幾ら探せども出てくるのは本ばかり。
書庫なのだから当然だ。
「お嬢様のことですから、
どこかにお菓子でも隠しているのではと思いましたが…見当たりませんね」
あらかた見て周って、
どうしたものかと悩んでいたところ、
ふと一冊の本が目に付くレーミス。
「あれ?………こんな本ありましたっけ?」
他のものより古びた…というよりは傷んだ皮の背表紙には何も書いていない。
本…というよりは日記の様なものを手に取るとパラパラと中を捲る。
「何も書いていない?いったい何の…きゃっ!」
すると突然本が輝き、レーミスは光に包まれた。
-本の中の世界-
「いっ…いったい何が…」
レーミスが目を覚ますと、白いふわふわとした世界に漂っていた。
目の前にはぽわぽわと光る光の玉が浮いている。
「ゆ、幽霊!?!?」
「違う違う!いや、まあ違くはないんだけど…」
「って、その声!もしかして…デル様ですか?」
生涯忘れられない、もう二度と聞くことは出来ない声が耳に届き、
流石のレ―ミスも動揺を隠せずにいたのだが…
気付けば、考えるより早く、光る玉に向かって言葉を投げかけていた。
「おっ、わかっちゃったか。久しぶりだね、レーミス」
「デル様っっ…ほ、本当に!
し、失礼致しました!幽霊などと言ってしまい…」
「仕方ないよー、だって僕この姿だし」
同じなのは声だけではない。この反応…間違い無く悪魔騎士王。
レ―ミスは、光る玉がデルの人格に相違無いと確信した。
「それにしても何故デル様がここに?」
「ここは僕の書いた本の中の世界だよ。
膨大な量の記録をする為にちょちょっと魔力を入れたら…
まあこんな感じで分身ができちゃったんだ」
「できちゃったんだって…
ということはあなたは本当のデル様ではない…と?」
「そうそう、飲み込みが早くて助かるよ」
「いやもう頭が混乱してます…」
久々の再開を祝う暇もなく、
突然の出来事にレーミスの頭はパンク寸前だった。
「それにしてもフィアレはまだ気付いてないのに…
すぐ気付くとは…レーミス、なかなかやるね」
「お嬢様?お嬢様もここに来ていたのですか?」
「うん、来てるよ」
「なるほど。
近頃お嬢様が行っていた場所というのは…こちらのことだったのですね…」
「にしてもレーミスまでここに来るとはねぇ…
結構上手いこと隠してたと思うんだけどなぁ、あの本」
「ところで、この本でお嬢様は何を?」
「うーん………食べてるね」
「食べる?」
「うん、この本は別世界『にっぽん』の食について記した本なんだ。
だからこの本の世界では『にっぽん』の食べ物を食べることができるんだよ。
まあ…僕が出さないといけないんだけど」
「なるほど、お嬢様がここに通う理由がよく分かりました…」
「あ、もちろん、父親としてちゃんとセーブさせてるからね!」
「とかいいつつ、強請られたら押し切られてるんじゃないですか?」
「ぐっ…レーミスさん、急に遠慮が無くなってません…?」
「それとこれとは話が別です。お嬢様のお世話も私の仕事ですので」
「立派になったもんだよ…じゃあそんな偉いレーミス君にはこれをあげよう」
「えっ、これは…」
ボフッという効果音と共にレーミスの目の前に現れたのは、
鶏肉を一口サイズに揚げたもの…唐揚げだった。
「鶏肉…の唐揚げですか」
「うん、でもただの唐揚げじゃないよ。
『にっぽん』という世界で作られた、『特から』という冷凍食品だ」
「冷凍?とても凍ってるようには見えませんが」
「そりゃ温めたからね。
一度調理したものを凍らせて、長期保存できるようにしたのが冷凍食品って代物さ。
ただ侮っちゃいけない…とにかく食べてみてよ」
「それじゃあ…まぁ一口だけ…」
ほくほくと湯気だった唐揚げを口に含むレーミス。
その瞬間、カッと目が見開かれる。
時間が経ったとは思えない柔らかな食感。滴る肉汁。
溢れんばかりの旨味を感じてしまったその体は、
もうこの唐揚げなしには生きられない体になってしまい、
『もっとください、はやくぅ…』とまるで発情した…
「…………」
待って待って!レ―ミスさん待って!
すみませんでした!出番あったら流石にこっちに関与できまいと!
出過ぎた真似を致しました!
許してください失礼しましたぁぁぁあああああ!!!
「…どうしたんだいレーミス?」
「いえ、ちょっと処さなければいけない方がいるような気がして…」
「なんで僕の方に斧を向けてくるんだい!?
僕は何も言ってないよ!?!?!?」
「はっ!失礼しました…。
それにしてもこの唐揚げ、美味しいですね。
醤油の香りに溢れ出る肉汁…長期保存用に作られた物とは思えない味です」
「おつまみに食べるもよし、ごはんに乗せて唐揚げ丼にするもよし…
揚げたてのカリッと感こそないものの、口に広がる旨味は只者じゃないよね」
「はい、これは是非お嬢様にも…」
「ははっ!なんだかんだ、フィアレに甘いのはお互い様みたいだ」
「あっ…ふふっ、そうかもしれません」
ぽわぽわと光る光の玉との談笑を楽しんでいると、
ほのかに辺りが白く光っていく。
「さて、そろそろお別れみたいだ。
お土産に一袋上げるから、フィアレと一緒に食べるといい」
「もう行ってしまわれるのですか?」
「この本に込められてる魔力はそんなに強くないからね。
そんなに長い時間維持できないんだ。
まぁ暫くしたら回復するから、そしたらまた本を開いてみてよ」
「そうですね…またお邪魔いたします。ありがとうございました」
「うん。これからもフィアレと仲良くしてやってね」
「もちろんです」
ふっとお互いに笑い合うと、温かい光が辺りを包んでいった。
レーミスが霞む光の中、一瞬だけ見えた光の玉の姿には…
かつて自分を救ってくれた恩人の姿が被さって見えていた。
-ルフェナ城内 廊下-
「あっ!レーミス!どこに行っていたんですの!」
窓から心地よい光が差し込む城内の廊下。
元気に走って来たのはこの国の姫であるフィアレだ。
「って、その手に持っているのは何ですの!?
唐揚げ?唐揚げなんですの!?
食べましょう!さあ、すぐにでも!!!」
レーミスの持っていた物に気付くと、
レーミスを食堂へとぐいぐい引っ張るフィアレ。
「お、お嬢様?さっきお昼を食べたばかりでは?」
「別腹ですわ!デザートですわ!」
「しっかり主食なんですが…」
「って、その唐揚げ、どこで手に入れたんですの?」
「あぁ、これは…」
と、言いかけて口を紡ぐレーミス。
「………知り合いの殿方に頂きました」
彼女にしては珍しく、
年相応の女の子が見せる悪戯っぽい笑みを浮かべながら言うレーミス。
「えぇー!どなたですの!教えてくださいな!」
「教えたら、お嬢様は集りに行きそうですので」
「そ、そ…そんな野蛮なこと、し…しませんわ!?」
和気藹々と話しながら歩く二人。
「(お嬢様自身が気付かなければいけないですからね)」
そう心の中で呟くと、レーミスはフィアレと共に食堂へと足を進めた。
【てるの後書き】
かなり期間が空いてしまいました…お久しぶりです、てるです。
今回の品物は「ニチレイ 特から」です。冷凍唐揚げといえばこれ!
と、気が付いたら学生時代から刷り込まれてましたね…。
量良し味良しと、いいとこ尽くし。
そのままでも美味しいし、マヨネーズやチリソースをかけてもまた良い。
おつまみとしても最高ですが、普段はご飯と一緒に食べてました。
作り立てのカリカリッとした唐揚げもいいんですけど、
冷凍の唐揚げってなんか定期的に食べたくなっちゃうんですよね。